2017年08月09日

笑う!田舎暮らし 連載「便利やけどあかん」

(コープ自然派Tableタブル 2009年2月号)

 「おるか〜。薪いらんか〜」とお隣のおんちゃんがやってきた。家の敷地内のケヤキの枝を切ったからと声を掛けてくれたのだ。

 山に暮らしていても、意外にも薪を揃えるのは一苦労。伐りだす手間も、運ぶ労力もたいへんなもので、重機に頼らざるを得ないことが多いからだ。マイ山など持っていない我が家などは問題外だが、落ちている杉枝を拾ったり、木を切りだした後の切り株をもらいに行ったりして、なんとか細々とお風呂を焚くための薪を確保している。時にこうして薪を提供してもらえるのはたいへんありがたく、「わお、いただきます〜」と即答。

 切ったばかりのケヤキは、枝といえどもかなり重い。こういう雑木の薪は、火力も強く、火持ちもいいので、少量でもかなりのエネルギーになる。これで春くらいまではあたたかいお風呂に入れそうで、もうおんちゃんに足を向けて寝られません。ありがたや〜。

 おんちゃんはケヤキを軽トラからおろしながら「やっぱ、薪の風呂はええだろ。熾きが残って湯が冷めにくいけん。ガスも電気もすぐ冷める。便利やけど、あかん」

 「便利やけど、あかん」−お風呂の他にも、村ではみんなが共通で持っているこの感覚。化学肥料を使わずいっぱい汗を流して肥料になるカヤ(ススキ)を刈るばあちゃん、いろんな種類の漬け物が店に並んでいようとも毎年どっさり漬け物を漬けるばあちゃん、わざわざ山から木を切りだして自力で小屋を建てるじいちゃん。ここでは少し前の、自然と共に暮らして来た頃のライフルタイルが今もそのまま残されている。

 今の時代、自分自身もたくさんの便利を享受しながら暮らしているわけだけれど、近頃の便利さには必ずリスクがつきものだ。でも、そのリスクを頭で考える前に、本物のよさを味や体感などで感覚的にわかっているからこそ、山の人たちは昔ながらの暮らし方を大切にしているんじゃないかな。肩肘張った環境論を振りかざすわけでない、すーっと身体に染みていくようなまさにナチュラルなほんまもんのエコライフ。

 いただいたケヤキの枝。長いままなので、これから鋸で適当な長さに切らねばならない。雑木は枝であっても切るのはとても時間も力も要る。よっしゃ、これでいっぱい汗かいて運動不足一気に解消! 山のじいちゃん、ばあちゃんのエコライフは、環境にも身体にもいいのである。
posted by pon at 15:22| Comment(0) | 連載
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