2017年08月09日

笑う!田舎暮らし 連載「旬の贅沢」

(コープ自然派Tableタブル 2009年3月号) 

 村の数少ない商店には、町のスーパーのように常時生鮮野菜が並んでいることはまずない。野菜はそれぞれ自分の畑で作っているので、たまに仕入れてくる野菜は季節外れのハウスものがほんの少し。菜っ葉類から芋、豆、夏野菜に至るまで、さながら畑はスーパーの野菜売り場のようだ。手塩にかけてばあちゃんたちが育てる野菜の味は、大量に栽培されるものとはまったく違う野菜のようでもある。ひとことでは表せないけれど、とにかくおいしく味わい深い。サツマイモをふかしたのをいただいたときも、それだけで和菓子のようなおいしさだった。気の毒だけど、店に並んだハウスものの野菜たちは肩身が狭そうだ。

 「野菜は旬のものを食べよう」と言われる前に、村には旬の野菜しかないので、絶対冬にキュウリは食卓にあがらない。夏の食卓に毎日毎食登場するキュウリもなすも、秋までが旬。冬には寒い季節に収穫される大根やイモ類など、身体をあたためる野菜が主流になる。当然、毎日同じ野菜が登場することにもなるけれど、その分いろんな調理方法を工夫したり、新しいコラボな料理が発見されたりして結構楽しいのである。野菜の他にも、柿やぶどう、梨やキウイなどの果物まで、驚くほどのレパートリーの広さである。

 今の季節は、ハクサイや小松菜、チンゲンサイ、ほうれん草やキャベツ、大根など、あらゆる菜っ葉類のトウ立ちの季節。寒い冬をじっと耐えて、あたたかいお日様にむかってにょきにょき背を伸ばした菜の花たちのオンパレード。旬の季節、春先だけの贅沢な味覚は、冬中にたまった身体の毒をおろすとか。

 売ってないから作るのか、作るから売っていないのか、自家用だからこその少量多品種栽培。なんとかこのおいしさを町にも届けたいもんだなあと画策していると、隣のばあちゃんが「もうジャガイモ植えたか?」−いえいえ、まだでした。村ではおいしい和菓子も当然売ってないけれど、今年は私も和菓子のようなイモを作るのだー! 「はよう、耕せよ」−はいはい。早く準備せねば、店では買えませんものね。
posted by pon at 15:29| Comment(0) | 日記
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